現代のこどもへの運動指導

2017年 08月 09日

https://tomproject.exblog.jp/237490232

こどもの身体がおかしい

運動ができない、体力の低下

これは間違いなく問題なのですが

だから

小さい時からたくさん運動させましょう

たくさん走らせたら足が速くなりますよ

跳び箱も練習させたらこんなに跳べますよ

スポーツも早くからさせた方が上手になりますよ

小学校の体育がダメ

運動量が少なすぎる

もっと走らせろ、体操させろ

昔はもっとやっていた

といった考え方で解決するのか

運動が苦手、スポーツが下手、動きがぎこちない、不器用

体力運動能力がないのはなぜなのか

早くから鍛えれば、何度も練習すれば、厳しくすれば良くなるものなのか

ひと昔前と最近のこどもの違いは?

昔と現代の生活様式の違い

そうじ、洗濯、炊飯、風呂

ほうき、ちりとり、ぞうきんがけ…から掃除機に

洗濯機、炊飯器、風呂は自動、トイレも自動

遊びは?外?

山の中、草むらの中、川、石、坂、木などの環境

相撲、チャンバラ、メンコ、コマ回し、竹とんぼ

今はもう昔遊び?でする程度?

スポーツができる体・技能がある程度できていたのが昔

今はできる状態でないのに、早くから野球、早くからサッカー、しかもそればかり

先日話した方は、息子さんの野球部について

「野球もそうなんですけど、走るのが全然。走れないし、フォームもおかしい」

足が遅い、走り方がおかしい

「姿勢を良くして」

「腕振りは肘を背中に引いて」

「膝を前にまっすぐに上げて」

「脚を伸ばしてしっかり地面を蹴って」

…できないのはなぜなのか

背中が丸まって肩甲骨が使えていない

骨盤周りの筋肉が使えていない

足はアーチがつぶれて地面を押せていない

それは

ズリバイする時に

肩甲骨周辺をしっかり使って肩腕を動かさなかったから

股関節をしっかり使って脚を動かさなかったから

脚で床を押して進む時に親指をしっかり使って押せなかったから

ハイハイでも

手を着いて体を支える

手足の協調した動き

顔をあげて周りを見る首の動き、視覚の発達

前後方向へのバランス、平衡感覚

足指の発達

走る前、歩く前の這う動作

ズリバイ・ハイハイの動きで体の使い方を学習し、身体機能を高める

寝返りもしかり

首、肩、骨盤、背骨、足、すべてが繋がった動き

それらが充分にできていないから、身体がうまく使えない

だから運動もうまくできない

できないところがあるのなら、前の段階に戻ってやり直し

だからハイハイ、だから寝返りなのです。

寝返りをする時期、ハイハイする時期には

片側からしか寝返りしない

ハイハイの動きがおかしい

うつ伏せが苦手

飲み方、食べ方の問題等がある場合も

首や肩の筋に緊張があって思ったように動けない

感覚の入力がうまくできない

普段の姿勢、抱っこや哺乳の体勢

口や舌の働き、口腔機能の発達

それらの原因をどうしたら改善できるか

下に挙げたリンク先の「身体調和支援」のような運動発達を促す方法が大切であると考えます。

こどもの体力運動能力の問題

身体・運動だけでなく、いろいろな要因

口腔や栄養なども強く関連します。

それぞれにある原因を考え改善することが重要です。

スポーツが上手になりたいという時

そのための土台となる身体や技能、基礎的運動能力が必要ですが

それらがない子がほとんどです。

日常生活や遊びの中でさまざまな身体動作や感覚を経験し、基礎的な運動スキルを身につけていれば、スポーツへの取り組みへも適応できるでしょうが

それがない状態でスポーツをする、さらに早期に専門特化することは、短期的にも長期的にも問題となると思います。

現代のこどもたちへの運動指導では、その土台をつくることが必要なのです。

寝返り・くの字・Sの字とスポーツ技能

2021年振り返り(基礎トレーニング)

2022年 01月 01日

新年おめでとうございます。前回の続きで今年の取り組みについてなど振り返ります。

今回はトレーニング内容についてですが

一番は寝返り、ずりばい、くの字・Sの字などの基礎的トレーニングの重要性です。

トレーニングで重視していることに、首すわり、寝返り、ずりばい…などの運動発達があります。

これらの運動をしながら成長発達をしていくわけですので、まずは赤ちゃんのときにこれらの運動をしっかりしておくことが大事です。

そして大きくなってからも、幼児でも小学生でも中高大学生でも大人になっても高齢になっても、これらの運動は重要です。

ということで、発育発達を基にしたトレーニング、コオーディネーショントレーニングとして、これまで10年ほど続けてきました。

いろいろな人たちに会い、指導する機会をいただき、取り組みを続けてきましたが、続ければ続けるほど、これらの基礎的な動きや視点が大事だと、考えが深まってきたように思います。

体幹が大事ですよ

肩甲骨と骨盤の動き、連動性が大事ですよ

首と体幹の連動が大事ですよ

骨盤、体幹の捻り動作が大事ですよ…と

トレーニングそのものの理屈はそれほど変わりません

この子はどんな特徴があるかな

どうしてこの動きになるのかな

どこにつまづきがあるかな

どんな動き・刺激が入れば変化があるかな

相手のこと、トレーニングをどうしていくかを考えていくと

頭を支える動きができていないな

寝返りで背中を反らして動いているな

お腹、首、背中をきちんと支えられていないな

お腹から股関節の筋がうまく働いていないな

などの課題が見つかり

あおむけ、うつぶせでの動きをしよう

寝返りの動きのやり方を変えてみよう

ずりばいを違う場所でしてみよう

意識させるポイントを変えてみよう

と改善策がでてきます。その考えのもとになるのが運動発達や感覚の育ちの視点です。

「野球でボールが打てない」という状態を例にすると

視覚的にボールを捉えられていない、距離感がつかめない、目の使い方が苦手

ボールを見ながら(視線・頭部を固定して)体を動かすことがうまくできない、頭や体の動きに伴って目がぶれてしまう

バットの操作がうまくできない、視覚的にとらえたボールの位置と体を動かす位置、バットを操作する位置がずれている等

運動する情報入力に課題があるのか、体の動きに課題があるのか、距離感・リズム感、いわゆる定位分化能力に課題があるのか、さまざまなことが考えられます。

それらを考えその子に合わせてトレーニングを考えることが必要であり

たくさん練習すればできるようになる!では良くならないことがあるのです。(それで良くなる場合は大丈夫ですが)

ボールを投げる捕る、打つ、蹴る、走る

野球でもバスケでもサッカーでも何でも

大切なのは自分の身体をしっかりと動かせることです。

体幹が弱いから体幹トレーニングをするのではなく

体幹が弱いのは寝返り、ずりばい、ハイハイをしっかりしていなかったから。頭をきちんと支えて動けていなかったから。

体幹や首、足をうまくつかって寝返りなどをしていって、良い動作でハイハイができると良い動作で高這いができ、良い動作で歩けるようになり、良い動作で走れるようになるのです。

運動も勉強も基礎的なことからの積み上げ、ステップアップだなあと感じた今日この頃でございました。

今年もよろしくお願いします。ありがとうございました!

高橋

https://tomproject.exblog.jp/241322457

なぜトレーニングで寝返り・ハイハイをするのか

https://tomproject.exblog.jp/239209056/

2019年 04月 09日

トレーニング内容について、ハイハイなどの動きを大事にしています。それらの動きに取り組む理由、運動発達について書いています。

【基本となる動き】

人間は生まれてから日々成長し、運動に必要な能力や感覚も身につけていきます。特に運動において大切なのが1歳までの運動発達です。少しずつ視覚や聴覚が発達し、ものが見えるようになり、音がした方を向くようになります。ものが見える距離や範囲が広がり、眼球や首の動きがしっかりしてくるとよりそれが広がります。

仰向けから首、体をひねり向きを変え、だんだんと寝返りもできるようになります。寝返りができると今まで見えていたものが反対になります。こどもにとって本当に世界がひっくり返る体験であります。寝返りができるようになることで、自分で移動できる範囲が広がり、さらにうつ伏せでの動きも増えます。

寝返りやうつ伏せの動きにともない、平衡感覚や目の機能も発達します。赤ちゃんが大きな声で泣く、哺乳、呼吸、手足をなめるのも、口や舌、全身を使った運動であり、日々発達していきます。赤ちゃんは毎日これらの動きをしながら体を成長・発達させ、首がすわり、寝返りができ、座れる、はう、そして立てるようになっていきます。

ズリバイをすることで四肢が連動した移動の動きを自然と身につけます。足の親指で床を押して進み、足の機能も向上していきます。ハイハイで手でしっかりと体を支えられるようになります。前後にバランスをとり、自分の体をコントロールして移動できるようになっていきます。

これらの動きをしながら、こどもは段々と上手に体を動かせるようになっていきますが、近年これらの運動が足りない、発達が不十分なため、体を動かすことが苦手というこどもが増えているように思います。

ハイハイをしないですぐに立つ、歩く、これらは喜ばしいことではありません。その時期に必要な動きを十分にすることで、体の機能や感覚が育ちます。こどもの運動能力低下の例としてよく挙げられる「転んでも手が出ないで顔を打つ」というのは、多くの要因があり単純には言えないのですが、ハイハイの運動(前方への重心移動・バランス変化)で平衡感覚や反射、体を守る動きなどが発達していない状態だといえます。

「幼少期の運動発達が完璧」という人はいません。運動発達・学習のためには、誰にとっても寝返り・ハイハイなどの運動をやり直すことが大切です。特に「運動が苦手」という場合、これらの運動をしっかりとしていないことが多いです。

幼少年期の運動で重要なのは、跳び箱や鉄棒などの種目を、いわゆる先取り学習することではありません。じゃれつき、転がり、体を思い切り動かし、さまざまな感覚を刺激することで、運動機能は発達していきます。走り回りたい、ぐるぐる回転したい、高い所に登りたい、グラグラするのが好き、これらはこどもが自然と求める運動刺激です。これらの欲求を満たす運動や遊びが、こどもに必要な運動能力を一番に伸ばすものでもあります。

運動教室では、

◎成長発達に重要な動き(寝返り、ハイハイなど)をしっかりとすること

◎平衡感覚をはじめ皮膚感覚など様々な感覚に刺激を与えること

◎運動に親しみ、運動を通して考える・イメージする力、コミュニケーションを育む

これらを大切にしています。小学生になってからは、自分から動く・考えることがよりできるように、指示待ちにならず「主体性を発揮する」ことができるようにしていきます。


以下は以前に書いた年間トレーニング内容についてです。(一部修正)

【体幹・平衡系の運動】

◎平衡(バランス)能力

・人は視覚や触覚、筋肉や関節、前庭覚からの情報によって、体の位置や傾きなどを把握し体を動かしています。

・体の回転や揺れ、バランス、姿勢や視線の変化によって、平衡系の刺激を与えます。

・座った状態、仰向けの状態から立ち上がるエクササイズなども体幹・平衡系のトレーニングになります。

◎寝返り、ハイハイの動き

・こどもは運動発達の過程で獲得する寝返りやハイハイの動きによって、体の使い方を学習するとともに身体機能を高めます。

・寝返りは、首や背骨、骨盤の動きによって体を回転させます。体の移動、身体操作の基盤となる運動です。体の軸を使った動きを引き出し、また、転がることによって平衡系の感覚を刺激します。

・這う動作は、背骨の動きと肩から腕、骨盤から脚の動きを連動させて、体を移動させます。ハイハイ、高這いでは手足で体を支えます。体重を支えて動くことで、手と足のアーチが育ちます。手足の指がしっかりと曲がり・伸び・開くことが、体を支える土台になります。

・また、手足の細かな動き、器用な動きも、体幹部の動きや自分の身体の感覚が育つことが大切です。体幹から手足へ、粗大な運動から微細な運動へと発達します。

【走る・跳ぶ(移動系)運動】

・走ったり跳んだり、体が揺れることも平衡系の運動刺激になります。

・足の動きもですが、体幹部をうまく使えているかが重要であり、這う・四足の動きをしっかりすることが大切です。

・走る・跳ぶ力を育てるとともに、色々な方法やリズムで移動したり跳んだりするトレーニングを通して、自分の動きを周りに合わせる、リズム・タイミングと動きをつなげる能力を高めます。

【操作系運動(ボールなど)】

・投げる捕る技術の前に、まずボールに触れ、慣れ、なじむ、楽しむことを重視します。

・自分の体の近くからの操作感覚、空間認識を広げていきます。

・ボールの認識を少しずつ遠く・高くしていき、スピードや距離感、リズム感をつかみます。

・投げる・捕るのも、手の動きや上手にできるかどうかよりも、体幹から動いているかどうかがポイントです。

【ゲーム系運動(オニあそびなど)】

・オニごっこの場合は、直線的に走る速さだけではなく、スピードを変えたり止まったり、方向転換するなど動きを変えることも必要です。

・また、周りの状況(オニの動き、周りの人、物、場所)を認識しながら、相手との距離や動くタイミング、走る方向や場所を考えることになります。

・オニが複数になったり、ルールが組み合わさったり、さらにオニごっこから発展させたゲームになると、さまざまな判断、作戦、コミュニケーション、戦術的な思考などが求められます。

◎どの運動についてもですが、こどもの場合は、言葉で教えずデモンストレーションをして見せることが大切です。

◎筋・関節・皮膚からの体性感覚(体の位置、動き、力)・運動覚(関節運動の方向・運動の状態)が視覚・聴覚などの感覚の土台となり、視覚・聴覚などが言語や思考を支えます。低年齢ほど「体性感覚」と「運動覚」を重視します。

これらに加えて、顎、足指の動き・トレーニングも大切に考えて取り組みます。

◎近年のこどもの口(顎・歯)の問題として

・顎が小さく、永久歯がきちんと生える口腔スペースがない

・噛み合わせ・歯並びの悪さ、低舌位

・口唇を閉じられず口呼吸になることによって、アレルギー性疾患や病気になりやすいといったことがあります。

これら口腔機能の発達には、胎児期からの栄養状態など様々な要素が関わっています。

乳幼児期に気をつけたいこととしては

・授乳姿勢、食事・睡眠時の姿勢

・哺乳や食事での口・舌の使い方

・食事の内容や栄養など

運動教室の中では、うつ伏せの姿勢で口を大きく開く動きをします。

このとき、口を大きく開く、特に上顎を大きく動かして開くようにしています。また舌がしっかり動くことや普段の舌位置も重要です。

◎足指の問題

・土踏まずの未形成

・外反母趾・内反小趾

・寝指(小指や薬指の腹が真下ではなく内側に向いている)

・かがみ指(指が曲がっている。上から見ると爪が真下を向いて見えにくい)

・浮き指(指が床についていない)

室内での運動教室の際は裸足で運動していますが、

普段から足指を使って動くこと、足に合った良い靴を選ぶことが大切です。

・足が靴の中で滑らないもの(マジックテープの場合折り返し付きの2本以上)

・サイズのあったもの(指先に1cm余裕をもたせる)

・インソールの跡を見たときに、指が5本ともついているか

◎口の周りの筋肉、舌の機能を高める体操に「あいうべ体操」があります。

みらいクリニック(福岡県)の医師 今井一彰 先生が考案された、口・舌の体操です。

足指の体操についても、ゆびのば体操があります。

【みらいクリニックHP「あいうべ体操で口呼吸を鼻呼吸に改善」】

→ https://mirai-iryou.com/aiube/

口腔発達と運動発達 口腔トレーニング

「スポーツが上手になりたい」「足が速くなりたい」という場合、その練習をするのはもちろん必要なのですが、その前に大切なことがあります。

特定のスポーツ技能を高めるにはその基礎となる身体を動かす能力や感覚が必要です。

ケンケンをするときには片足で体を支えてバランスをとることはもちろん、上半身の反動をうまくつかってジャンプすることが大切です。

おんぶをするときには人を背負って踏ん張れる力も必要ですが、うまく背中に乗せるために自分と相手の体の位置や動きを把握する感覚も大切になります。

人はさまざまな感覚や能力をつかいながら運動を学習していきます。

粗大な運動から微細な運動へ

体幹部の運動から手足の末端部の運動へ

細かな動きができるようになることでまた体幹の動きも発達していきます。

専門的なスポーツ技術の習得が難しい・苦手というとき、その練習をひたすらするのは非効率的なだけではなく、偏った体のつかい方により故障を招く・好きでスポーツをしていたのに嫌になってしまうなどの可能性もあります。

掛け算や割り算がわからなかったら、足し算や引き算がきちんと理解できているか確認しますね。

足し算や引き算の勉強の前には、数の概念、抽象的な理解が進んでいることが大切です。

走る・跳ぶ・しゃがむ・ぶら下がる…などの基礎的な運動

歩く・立つ前にしていた、赤ちゃんのときのハイハイ、寝返り、首座りなどの運動

これらの運動が非常に重要です。

体を動かすのが苦手なとき、これらの運動がうまくできていなかった、抜けがあるといったことが多いです。

何歳になってからでも、これらの動きを丁寧に復習することで体の動きや運動能力が改善します。

そして大切な運動の中でも見逃されがちなのが「舌」「くち」「あご」の運動です。

赤ちゃんは哺乳をするときに口を大きく開き舌を動かします。その動きで舌や口腔の動きを発達させていくのです。

以下、舌の運動や口腔発達についての動画の紹介です。

口腔体操は食事の前などにすると習慣化しやすいです。大人も高齢者にも大切な運動です。ぜひやってみてください。

参考動画

【舌の吸い上げトレーニング】川邊先生


【離乳食や口腔発達の話】町村先生(はびりす)

再生リスト【川邊先生口腔】

再生リスト【口腔みらいクリニック】

「治らないという考え方は治りませんか?」「発達障害、治るが勝ち!」

発達障害は近年は「神経発達症」というようになっています。

その定義は広く、人によって症状などもさまざまです。

原因は「現時点では生まれつきの脳機能の問題が有力です」などとされ「先天性」だから「治らない」といわれてきました。

しかし実際に、発達障害と診断をされていたが、診断が無くなった人、軽くなった人がいます。

原因や治療についても研究されています。日本でも脳神経内科で治療を進めている医師もいます。

「治せます」と言われると、良いと聞いたことをすべて試してきた、どんなに努力しても治らなかった、など当事者の方しか理解できない思いがあるのはわかります。

しかし「生まれつきの脳機能の障害です」「治りません」と言われたとき、それを聞いた方たちはどのような気持ちになるのでしょうか。

先天性だからどうしようもないのか

脳機能の障害だから脳が発達しないのか

一生このまま成長できないのか

将来勉強したり働いたりできないのか

治らないから何もできないのか

想像することしかできません。

しかし「生まれつきです」「治りません」という言葉は、どのような意味であるのか丁寧に説明しなくてはならないと思います。

私は発達障害の専門家ではありません。

ではなぜその理論や改善法を学ぶのかというと、誰にとっても役立つと考えているからです。

発達が完璧な人はいないし誰でも多少は発達に凸凹はあります。

障害などある人の脳神経系や筋機能、症状などを改善するものなら、誰にとっても有用なことが多いはず。

運動スポーツが専門だと、フィジカルトレーニングやスポーツスキルの情報にばかり目がいきがちです。

体育大でも発育発達の概論は授業で学びますが、乳幼児の発達や口腔のことなどについて関心がある人はごく少数。私もまったく知識はなく、十数年前くらいから知るようになりました。

体育スポーツ指導をするなら、学校関係の教員などにとっても、こどもの発育発達について、口腔について、発達障害について学ぶのは必須ではないかと今では考えています。

分野に関わらず一般的には無理といわれていることでも、驚くような成果・実績をあげている人はいます。

エビデンスがまだない…ガイドラインになっていない…などと言う前に、実例を見て理論や機序を調べて、とりあえず実践してみて結果をみてみる。

自分や家族が改善すればよいのです。そしてそれは貴重なひとつの事例であり、エビデンスになっていくのです。

「発達障害は改善できる」というと「治りません」「勉強しろ」「デマ」「インチキ」などと言ってくる人がいます。

「発達障害が改善したのだとしたら、そもそも誤診・そうではなかった」「成長にともなって特性が軽くなっただけ」などと言ってくる人やそれに賛同する人もいます。現在でもそのような人らが多数派だと感じています。

アレルギーやそのほかの病気でも同じような話がありますが、「これは治りません・その治療法にはエビデンスがありません」などと言っておいて、実際に治った・改善した事例に対しては「自然に治ることもある」「環境が変わると症状が出ないことがある」「それが原因かはわからない」などと言い出す。

治した人たちは「治らない」と言われても、色々考え調べ実践して結果を出しています。
「発達障害、治るが勝ち!」は花風社の本ですが、まさにその通りです。

神経発達症の原因は「現時点では生まれつきの脳機能の問題が有力」などと言われています。

「現時点では」「原因不明なところがある」「原因や治療法は確立されていない」とされており「治らない」が常識です。

それは改善しない、社会生活ができない、勉強ができるようにならない、働けるようにならないということではありません。

状態や症状の強さも人それぞれですし、改善が難しいことももちろんあります。

「治る」と表現するのが違うのでは、という意見はわかりますが、「改善」も「発達」も「成長」もできます。

仮に五体満足で何も障害がなく生まれてきたとして、何もせず何も学ばずにいたらどうなるのか。

障害などのあるなしに関わらず、発達すること学ぶことは誰にとっても必要です。

高橋

花風社の本

https://www.kafusha.com

◎最新刊の「発達障害治療革命!脳神経内科医からの提言」は脳神経内科の見地から神経発達症の原因や治療法について書かれています。

そのほかの本もおすすめです。

『偏食支援・指導で絶対NGトップ3』発達障害臨床研究会(宇佐川研)のページ

https://usagawaken.com/hensyoku_shienng3

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